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出航!深江丸
出発の時というものはドラマチックなものである。そこには別れがあるが、新たな出会いが予感される新しい世界への扉でもある。
色々な乗り物の出発の中でも
船の出発・・・つまり、出航は、また格別な気がする。車や電車の出発はあまりに日常的過ぎる。缶詰状態の
飛行機の出発には旅情と言う感覚が欠如している。ゆっくりと、しかし遠い世界まで旅立つ船の出航は、旅情に満ち溢れて
いる気がするのは、私だけでしょうか?
深江丸とは、息子が通う大学の実習船である。大学祭で体験乗船が出来るという事を聞いていたので、息子が在学中に
是非一度乗ってみたいと思っていた。今年が最後のチャンスである。
大学は関西地方にあるので、ついでに他のところの観光も考えて旅の予定を立てました。
2013年5月25日
7:20大阪着。JRで伊丹へ。バスにて荒牧バラ公園(伊丹市荒牧6丁目)に向かう。
荒牧バラ公園
この公園を知ったのは、随分前になる。自分のHPがどのようにすれば検索されるか調べていた時に、
「荒牧バラ公園」を見つけました。花にあまり興味がない
私ですが、その名前から、なんとなく気になる公園でした。WEB上の写真を見ると、なかなか良さそうな所らしい。
なにより、家内が花好きという事もありましたので、今回訪問してみる事にしました。
実際に公園の入口に立って見ると意外と狭い場所のような印象をうけました。しかし、侮るなかれ、
つぶさに見ようとして散々歩き回るはめになったのでした。
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スパニッシュビューティ |
セントセシリア |
ニュードーン |
公園散策の後、バスとJRを乗り継いで姫路城をめざしました。JR伊丹駅から先頭車両に乗込み運転席の後ろから前方を見ていました。
運転手とその横に立った乗務員が運行予定表みたいな表を二人で何度も指差しながら確認していました。塚口駅を通過後
電車は急に、わざとらしく思えるほど減速しました。ここでピンと来られた方もいらっしゃるでしょう。
2005年のJR福知山線脱線事故現場を通過したのです。建物の傷跡が痛々しい・・・。
姫路城
随分前から行きたいと思っていました。JRで姫路を通過する時にその優美な姿を遠くに見た事が何回あった事でしょうか。
さらに約1年前、爆笑問題の「探検バクモン」をテレビで見て、改修工事中に行ってみたいものだと思っていました。
姫路駅に到着。姫路城まで徒歩で15分位らしいが、姫路城内でもかなり歩き回る事になりそうだったので、バスで行こうと思いました。
案内の方に聞き、観光用のボンネットバスに乗ろうとしましたが、
目の前で出発してしまいました。次のバスは15分後。待ちきれずに普通のバスに乗りました。
姫路城の入場券売り場に、天空の白鷺(姫路城大天守修理見学施設)のエレベータは50分待ちの表示がありました。
でも、事前にWEB予約していたので、ほとんど待ち時間無しにエレベータに乗れました。何だか長蛇の列の人達に申し訳ない
ような感じでした。
天守閣を間近に見る事ができ、迫力がありました。城内や、姫路市内の眺望も素晴らしい!
百間廊下もなかなか見応えがありました。百間廊下は靴を脱いでの見学なのですが、歩き疲れていた所で靴を脱いで
板の間を歩くのは結構気持ちよかったです。
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天守閣屋根 |
鬼瓦の蝶 |
天空の白鷺から 姫路駅方面を望む |
好古園
次に、姫路城に隣接している好古園に行きました。好古園は、姫路城を借景にした日本庭園で、
時代劇のロケ地として良く使われているそうです。御屋敷の庭(瀧や池だけでなく御屋敷や渡り廊下もすごい)、
流れの平庭(雑草と思っていたスギナも綺麗)、竹の庭(風に吹かれた竹林の音と光に癒される)等の庭園群はもとより、
それを繋ぐ築地塀の道にも趣がありました。この庭園は、期待以上に良い所でした。
帰りの姫路駅行きのバス停を探すうちに、歩道の街路樹と彫刻に気を引かれました。そんな優雅な歩道を歩きながら
道沿いの店を覗いていると、いつの間にか姫路駅に着いていました。本日は、二つの観光地を巡り、ホトホト歩き疲れ、
西明石の宿で休みました。
これは本当に偶然の出来事ですが、旅行の数週間前に、私のHPを見て、書状に押されている印文
(書状を書いた人の名前)の解読を依頼してこられた方がいらっしゃいました。その方が姫路在住の
方だったのです。
印影を始めて見た時には、
「う〜ん」と言う感じでした。篆書の雰囲気はありますが、篆刻で使う篆書とは違うものでした。
ただでさえ印文の解読は簡単ではありません。
篆書を見て直ぐに読める文字もありますが、薄学の私には読めない文字も多いのです。
楷書→篆書の字書は有っても、篆書→楷書の字書は無いんです。篆書の解読は和英辞典のみで英文和訳をするような
ものです。それでも篆書であれば、一見してわからなくても、偏や旁から推測していく事も可能です。しかし、
今回の印文は、普通の篆書とは違う・・・一文字目は、ウ冠らしいが、それ以外は見当もつかない。二文字目はひょっとして「光」か?
でも根拠なし・・・という感じでした。
先方には「残念ながら一見しただけでは解読する事ができませんでした。この文字は、篆書の雰囲気はありますが、
伝統的な篆書とは異なるようなのです。少し考えさせて下さい」という事を先ず連絡すると
「やはり左様でしたか。あちこち尋ねておりますが、難読とのことです。ちなみに、これを『家斉』かも、
となさる方もありますが、もちろん少し無理があろう、とのことでした」との返事。
一文字目は、「家」・・・ウ冠だね・・・と言う事で字書を引いてみる。古文の「家」に似ている。
二文字目が「光」だとすると・・・「家光」!!
本当に「家光」だとしたら、VIPの印ですから、一応WEBを探してみると・・・
某ネットショップに「家光」の印影があったのです。意外と早く決着が着いてびっくり。ひょっとするとすると、この書状はお宝!?
5月26日
大学祭
息子の大学祭に出掛ける。息子とは会場で会ったが、模擬店をしているので私達と共に行動する事はできず、すぐに別れ、
深江丸の乗船整理券を手に入れて乗船。
深江丸は、大学の実習船。全長約50m。スクリュー羽の角度を変えることで速度調整するし、後退も可能との事。
さらに、船首・船尾の喫水線下にあるトンネル内にスクリュープロペラが横向きについていて、横に進んだり、その場回転も可能とは驚きです。
体験乗船は大阪湾を1時間程回ります。操縦室で船の説明を聞いた後、宿泊室や食堂等を覗いたり、デッキで港や海を見たりして過ごしました。
乗船中に海上を眺めながら思いました。人生を航海に例える事があります・・・出航の緊張感、
大海原に向かう不安、引き返すに引き返せない状況、目的地に到着する安堵感・・・。
人生はまさに航海だなあ・・・と思いながら、過去に海上を一番長く旅したのは、壱岐フェリー(博多−壱岐間、約2時間半)位なので、航海を語る
資格はなかったかもですね。
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深江丸 |
深江丸の操縦室 |
巨大なコンテナ船と 巨大なクレーン |
下船後、また息子と会うつもりでした。しかし、息子は模擬店のための買い物で会場を離れていたので、電話で夕食を一緒に
食べる約束を確認して、大学祭会場を後にしました。
昼食は息子の薦めで御影公会堂食堂に行く事にしました。阪神電鉄の石屋川駅で降りて、映画「火垂るの墓(ほたるのはか)」の舞台になった
石屋川ほとりを散策しながら、御影公会堂に到着しました。公会堂も食堂もレトロでなかなか良い雰囲気。食後、息子の大学のキャンパスを
ちょっと散策しました。
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「火垂るの墓」の碑 |
御影公会堂 |
食堂入口 (こんな所から入るの?) |
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レトロなショーケース |
良い雰囲気の食堂 |
大学キャンパス |
香雪美術館
これも以前から気になっていた美術館。美術館自体にもだか、その周りに広がっている庭園にも心引かれた。
阪急御影駅から歩いて5分という事で美術館のHPにあった案内地図を見て行ったが、途中で迷子に・・・。
通りがかりの人に聞いてやっと到着。こぢんまりした静かな美術館。開館40周年記念名品展 第1期.絵画編「室町から江戸の絵画」
が開催されており、等伯、雪舟、探幽、応挙らのすばらしい作品を見る事が出来ました。
帰りがけに抹茶と和菓子のセットを頼みました。美術館の前の庭に野点傘があり、そこでいただく事になっている
らしかったが、待つ間に応接室を物珍しげに覗きこんでいた所、係りの人から「今使っていないので、こちらで召し上がられても
いいですよ」と言われました。目は口ほどに物を言ったようです。喜んで応接室でいただく事にしました。
応接室の造りや調度品、更には窓の外の木々を
眺めながらの抹茶の味は、また格別でした。帰りは、来た道とは違う道を通って、美術館の周りの庭・・・というよりは森の広さに
気付きました。また、帰ってからWEBを見て気が付いたのですが、年に2回位、庭園特別見学会というものがあるらしく、
その時だけに広い庭園が見学できるらしいのです。しかも、行った日がその庭園特別見学会(要予約)だったのです!残念!もっと調べて
おけば良かった。
夕方、息子と落ち合い、一度は食べたいと思っていた神戸牛ステーキの夕食。その後、高速バスにて帰宅の途につきました。
来年の春、二人の息子達は大学、大学院をそれぞれ卒業予定で、社会人として「出航」する事になります。
順風満帆の航海を祈りたいですが、長い人生には順調な時ばかりでは無いでしょう。しかし苦しい時期を乗り越えてこそ
より力強く航海できるようになるはずです。息子達の航海が実り多きものになります様に願うばかりです。
2013年8月 記
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