ホーム> 篆刻雑感目次>遥かなる南米

遥かなる南米

 いつかは行きたいマチュピチュ・・・そう思っていました。折角南米に行くのなら、イグアスの滝も是非見たいなあ・・・とも思っていました。 いったい、旅行時期はいつが良いんだろう?ネットで調べるが色々な情報がありすぎて、 何だか良くわからなくなってきました。パンフレットをもらいがてらに、旅行会社に行って、旅行に適した時期について 質問すると、「南米の乾季にあたる4〜10月が良い」という事でした。それで4月以降で、安くて都合が良い時期を考えました。
 そんな折、4ページにわたる全面新聞広告に「世界の絶景100」というDVDの広告があって、 マチュピチュの写真が一番大きくデカデカと載っていました。 この広告は旅行気分を相当盛り上げてくれました。DVDを買う気持ちは、さらさらありませんでしたけど・・・。
 イグアスの滝は、ブラジルとアルゼンチンの国境にあります。「滝は両方の国から見た方が良い」と言う情報もありましたので、 そうした方が良いのかな?と言う程度の認識でした。結局選んだツアーが、滝を両方の国から見るツアーでしたので、 今回訪れる国は、ペルー、ブラジル、アルゼンチンの3ヶ国と言う事になります。その中でブラジルだけはビザが必要で、 これが結構面倒でした。
 ブラジルビザ取得の為には、インターネット上で住所、職業等の入力をする必要があったんです。 結婚、未婚の欄は選択肢があるのですが、離婚、法律上別居とかの選択肢もあるのが とても不思議でした。その他にも、何で旧姓も入力する必要があるの? 何で未成年でもないのに、親の名前も入力する必要があるの?等と、文句たらたら一人で言いながら、でも素直に入力しました。 やっと入力が完了して、送信ボタンを押すとエラーが発生するではありませんか!繰り返してもまたエラー! 名古屋ブラジル総領事館に問い合わせると、ブラジル側の システム不具合との事でした。ブラジルが、現在深夜なので、総領事館としてもブラジル側 の通常勤務時間にならないと何も分からないと言う事。後日、うんざりする入力をやり直し、申請用紙をプリントして 、パスポート、写真、さらに預金残高証明書等(現地での滞在維持を保証する書類)も送らなければなりません。 おまけに、ビザ取得を旅行会社に代行してもらうと、手数料込みで18,600円/人も掛かりました(ブラジル総領事館のHPによると、 旅行会社による申請の場合4,500円と書いてあるのに・・・旅行会社はちょっと手数料取りすぎじゃない?)。
 どんな衣類を準備しておけば良いのか・・・これも問題でした。天気予報で各地の気温を調べると、最高で29℃(リマ)、 最低−4℃(マチュピチュ)。寒いのは苦手なので、フリース、セーターも用意しました。おまけにイグアスの滝、特にボートツアーでは、 濡れるので雨カッパの用意が必要との事。持って行く荷物も増えました。

2012年5月19日〜20日
 熊本→羽田→ロサンゼルス→リマ→イグアス・・・長い時間をかけてやっとたどり着く。飛行機に乗っている 時間(24時間)と待ち時間(15時間)を合わせてなんと39時間もの時間をかけてブラジルのフォス・ド・イグアス国際空港に到着しました。 10日間のツアーですが、移動する日が多いので、実際に観光するのは5日間。南米は遠いです。 ここイグアスの時間は日本時間の12時間前なので、時差計算が極めて簡単。日本から地球の反対側である事も実感。

5月21日
 イグアスの滝をアルゼンチン側から観光。ホテルは、ブラジルにあるので、国境を越えなければなりません。入国審査は 添乗員さんがバスから降りてやってくれます。乗客はバスに乗ったままで済むので楽なものですが、 待っている時間がもどかしく感じられました。顔も見ない入国審査ですから、甘い審査ですね。
 自然がいっぱいの公園に到着。公園内の列車に乗って移動。列車を降りて川の上の遊歩道を歩く。 この、極めて穏やかな川のすぐ下流に世界に名立たる瀑布がある事が信じられない。途中、遊歩道が広くなっている 所で雨カッパを着用。富士登山に使った雨カッパで、防水対策は万全です。徐々に水煙が見えてきた。 イグアスの滝の中でも最も有名な悪魔の喉笛に到着。確かに凄い迫力なのだが、どれくらい凄いのか何だか良くわからない感じ。 写真では、なおさら良く分からない。
公園内の列車
川の上の遊歩道
悪魔の喉笛

 別の場所を遊歩道から観光。一口にイグアスの滝と言っても、とても広い。なにせ滝幅4kmもある。ちなみに最大落差は80m。 う〜ん、今日はどうも水量が少ないらしい。もっと迫力ある滝を見たかったなあ・・・。

 水量が多い時には、岩肌が出ている所は全部滝になるそうである。 でもあまりに水量が多い時には、滝の水しぶきで、滝全体が見えなくなってしまう事すらあると言う事だ。 ガイドさんの話によると、最近は水量の変化が予想しづらくて「どの季節が滝の見頃か?」と言う 質問に答え難くなっているらしい。
 多数のアナグマに遭遇。雨カッパを白いレジ袋に入れて下げているとアナグマが前足でアタックして きました。レジ袋に食べ物は入っていませんでしたが、破られると困るので、雨カッパ入りのレジ袋はリュックの中に収納しました。
アナグマがぞろぞろ
珍しい模様の蝶
ルリサンジャク
(カラスの仲間)

 トラックに乗ってジャングルツアーへ。ジャングルの珍しい動植物を観光しながら、ボートツアーの船着場まで来ました。 今日は水量が少なくて水深が浅いので、滝の近くには 行けないという事だった。ズブ濡れになる恐れは少ないという事だったので、雨カッパは着ないままボートに乗りました。
 これ以上は水深が浅くてボートが進めないと言う所まで来ても、悪魔の喉笛が遠くに見えるだけで、迫力不足 でした。 途中、ボートを故意に右へ左へ揺らす運転もありました。これもサービスらしいけど、わざわざ揺らさなくてもねえ・・・。
ジャングルツアーのトラック
船着場のボート(右側)
悪魔の喉笛は遠いけど・・・
皆一斉に写真撮影

 アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの三国国境に来る。川が国境になっている。 私が立っている場所がアルゼンチン、右向う岸がブラジル、左向う岸がパラグアイ。 写真の右側からイグアス川が流れてきている。悪魔の喉笛から流れ落ちた滝が、こんな穏やかな川になるのですね。
 夕食は、ラファインというお店のディナーショー。ビールと、カイピリーニャ(ブラジルのカクテル。サトウキビの蒸留酒がベース) と言う南米のお酒を飲んでみました。
 ショーは、南米各地の音楽、踊りがありました。 珍しかったのは、頭の上にビンを乗せる踊り(パラグアイのビンダンス)。1本乗せたかと思うと、 あれよあれよと言う間に増えて行き、最後は5本も乗せていました。
 先端に重りがついたひもを高速回転させる芸があったのですが、途中で観客の一人が指名されてステージに 上がってきました。その観客(日本人らしい)は立ったまま動かないように言われているようでした。 何が始まるかと思ったら、高速で回転しているひもが、ステージ上に立っている観客にだんだん近づいて くるのです(下の中央の写真、右側が演者で、右手で重りが付いたひもを回しています。 左側が観客で、胸の前にひも先端の重りの動線が写っています)。そして最後には、ひもが髪の毛をかすっていました。 見ていてハラハラしましたから、ステージに上がった人はさぞかしドキドキだった事でしょう。
 その他の音楽、踊りもバラエティに富んでいてとても楽しめました。 写真やビデオ撮影、フラッシュも可で、とても大らかな感じがしました。 ショーの最後は、やはりブラジルのサンバで、とても華やかで盛り上がりました。
ビンダンス(ビン4本)
ひもを高速回転
サンバ


5月22日
 朝から、少し時間があったのでホテル周辺を散策。昨夜ディナーショーがあったレストランの前も通りました。
 今日は、ブラジル側からイグアスの滝を観光。遊歩道を歩いていると、随所に展望所がありました。 それぞれ見える滝の景色が違うんです。 その度に写真を撮るので、しかも景色の良い場所を背景に皆さん代わる代わる写真を撮るので、遊歩道を進むのに時間が 掛かりました。小さな滝にわざわざ突入しているボートも見かけました。
滝・・・水量少ない
滝に突入するボート
滝の景色

 さて、いよいよ一番の見所である、悪魔の喉笛です。 昨日のアルゼンチン側の展望台から迫力の風景を見ましたが、ブラジル側から見るのも 全体が見渡せて、これまた絶景。見方によっては、ブラジル側の景色の方がすばらしいとも思えました。 ブツブツ言いながらもブラジルビザを取って本当に良かったと思いました。でも、めんどくさくて、お金も掛かるビザは廃止して欲しいですね。
 滝の上の方のレストランで昼食後、自由時間がある。売店を覗いて、しばらく木陰に座っていてもまだ時間がありました。 ここから見えるイグアス川は穏やかで、悪魔の喉笛からわずかに水煙が上がっているだけでした。ガイドさんが 同じツアーの人達に「滝を見に行って来たらどうですか」と言っているのを聞いて、再び 滝の近くの展望台に行って見る気になり、行って見ました。先ほどよりは、人が少なく、じっくり滝を見ることが出来ました。 虹も見えてとてもきれい!
 イグアスの滝まで本当に遠かったけど、ここまで来て本当によかった。海外旅行はすばらしい!・・・そう思える瞬間でした。

 夕方、イグアス空港へ。これからリマへ向けて出発です。チェックインの為に並んでいると、 私達の後に他の日本人団体が並んでいました。 その中の一人が、昨夜ディナーショーでステージに上がられた日本人だったんです。私達のツアーの方が気づいて話しかけて、 並んで待っている間、昨夜のディナーショーの話で盛り上がっていました。実は日本に帰着するまで、この団体とは空港で 一緒になりました。要するに私達の行程がポピュラーな行程だと言う事でしょう。
 今日の夕食はツアーに含まれておらず、機内でサンドイッチの軽食が出るだけと聞いていたのでイグアス空港で軽く 何か食べておこうと思いました。ハンバーガー等を売っている店の前まで来ました。そこに同じツアーの女性二人組みがおられて 、ハンバーガーセットを二つ頼んだとの事。値段が高すぎる事をぼやいておられましたが、そのうちに、ハンバーガー、 ポテト、ドリンクが出てきました。海外ですから予想は出来る事なんですが、そのハンバーガーが大きいんです! これは大きすぎるという事だったので、女性二人組みから、ハンバーガーセット一つを私達が買って食べました。
 飛行機に乗って、ドリンクサービスでもらった赤ワインをチビチビやっていた時に、飛行機がガクガクガク・・・ こんな大揺れは初めてでした。もし落ちたら・・・なんて事もマジに考えました。まだイグアスの滝しか見ていないよ〜 (おいおい、マチュピチュとナスカの地上絵を見たら落ちても良いのか?)。赤ワインが揺れる揺れる・・・ 一気に飲んでしまおうかとも思いましたが、コップを口に持っていく 余裕さえないくらい揺れました。下手にコップを口に持って行けば、こぼしてシャツを汚してしまいそうでした。 手で揺れを吸収しようと必死でコップを持っていましたが、繰り返す大揺れにとうとう少しこぼしてシャツに引っかけてしまいました。 やっと揺れが収まりホッとしました。揺れも大きかったけど、揺れた時間が長かった事、長かった事。 ああ、赤ワインが全部こぼれてなくて本当に良かった(そっちかよ!落ちなくて良かった!)。
 ホテルに着いたのが深夜0時少し前。ロビーで添乗員さんから明日の連絡「明日のモーニングコールは3時です」エッ〜! さらに「ホテル出発は4時です」なんという地獄のスケジュールでしょう。ホテルの朝食会場も3時からOKとの事。 「このようなスケジュールはペルーでは、珍しくありません」と添乗員さん。 さらに、添乗員さんからWi−Fi(インターネット無線接続)の説明の後、ツアー客から「ネットはどこで使えますか?」との質問がありました。 添乗員さんは「あちらのコーナーにパソコンがあり、ログインするために・・・」と答えていましたが、 どうやら質問された方が聞きたかった事は、「ネットウ(熱湯)はどこで使えますか?」と言う事で、カップラーメンか何かを 食べるために聞かれたようでした。何気に面白い会話でした。

5月23日
 結局、睡眠時間は1時間半でした。ツアーの中には一睡もされなかった方もいらっしゃったようです。 3時から朝食が取れる・・・のですが、飲み物とトースト以外に暖かい料理はありませんでした。 ホテルを朝4時に出発。霧雨。こちらでは、この時間、いつもこんな天気らしい。もちろんまだ暗い。前夜が短時間の睡眠だったので、 自然とうつらうつらしていました。
 途中のトイレ休憩も入れて 約4時間後、ピスコの空港に到着。広い敷地があるが、全面舗装されている分けではなく、滑走路はどこ?と言う感じでした。 乗るのは12人乗りのセスナ機。両側に一列づつの座席配列。 乗り込む前に各自の体重測定がありました。飛行機のバランスを取るため、体重によって個人毎に座席が指定されるそうです。 手荷物を持ったまま体重計(普通はスーツケースの重さを 量るための物)に乗ります。体重は後ろの人にも見えるので、ご婦人方は大騒ぎ。「重たいのは手荷物があったからよ」と言う 声が上がっていました。家内は体重を量るとき、何と自分の手荷物を私に預けていました。 飛行機に搭乗してみると、私達のツアーの3組の夫婦は、夫が左席、妻が右席。どう考えてもバランスを 取っているとは思えない座席配列でした。
小さい管制塔
離陸中のセスナ機
搭乗機

 空港を飛び立って雲の上に出るとしばらくは全面雲でしたが、しばらく飛んでいくと雲はすっかりなくなってしまいました。 ピスコからナスカまで約200km。この距離をバスで行くと4時間位掛かるでしょう。リマから日帰りでナスカの地上絵を 見ようとしたら、リマとナスカの中間地点のピスコから飛行機に乗るのは良い方法でしょう。ナスカの地上絵は黒い地表の小石 取り除いて明るい地肌を露出させる事で描いてあるそうです(地上絵は、地面に施した篆刻ですね)。 しかし、今回の旅行では飛行機から見るだけですから、地上から地表の様子を見る事はできませんでした。

 地上絵が見える地点に来ると、先ず、飛行機は機体を大きく(例えば)右側に傾けて、右側席から良く見えるようにします。 そして操縦士が片言の日本語で「右、(飛行機の)羽根の下、ハチドリ」とか言って教えてくれます。 今度は旋回して、機体を左側に傾けて左側席から良く見えるようにしてくれるのです。 要するに、機体を右に傾けて旋回、左に傾けて旋回と言うような飛行を繰り返すので、通常は飛行機で酔わない人でも気分悪く なる人もいるでしょうね。
 もちろん飛行中は、写真を何枚も撮りました。しかし、地上絵の写真は、見栄えがしないんです。上の「ハチドリ」だけは、 例外と言って良いほど良く写っていました。
幾何学模様
(同種の物、多数あり)
コンドル
(これでも良く写っている方)
パンアメリカン・ハイウェイ
(斜めの黒い線)

 空港近くのレストランで食事の後、リマまでバスで戻りました。行程が順調だったため、リマ歴史地区観光は、日程表では 車窓観光だったのですが、車から降りてアルマス広場を観光する事ができました。
ペルー大統領府
(アルマス広場周辺)
カテドラル
(アルマス広場周辺)
最高裁判所
(泊まったホテル前)

 夕食後にホテル近くのショッピング街を散策。この日は、ペルーとナイジェリアとのサッカーの国際親善試合が、リマで行われていました。 ショッピング街広場の大スクリーンに試合の生放送が映し出されていて、南米の熱狂的な応援を垣間見る事もできました。
 南米を旅していて、今まで、通貨は米ドルしか使っていませんでした。米ドルは強いですね。しかし、明後日行くマチュピチュのトイレは有料で、 現地通貨のソルを用意していた方が良いそうなので、2ドル分位のソルを用意しました。

5月24日
 今日のモーニングコールも早くて、3時30分。ホテル発5時。リマ空港7時発の飛行機にてクスコへ。クスコは標高3,400m。 着いた途端、高地に来た感じがしました。添乗員さんもしゃべり方が少し変で、「傘」と言う単語が直ぐに出てこなかったりしてました。 でも仕事はきっちりされていました。
 これから、クスコの市内観光の後、マチュピチュ遺跡の近くにあるマチュピチュ村まで行く予定です。 その前に、明日泊まるホテルへ、スーツケースを預けに 行きました。【マチュピチュ村行きの展望列車にはスーツケースを乗せられないのです。 前日から、マチュピチュ観光と一泊するために必要な物はスーツケースとは別のバッグに詰めて用意するように 言われていました。マチュピチュ観光には、防寒用衣類、雨具、虫除けも必要で、結構大荷物になりました】
 スーツケースを運んでもらっている間の少しの時間に、ホテルロビーでコカ茶が飲めました。ペルーでは、コカ茶は 日常的に飲まれているが、日本では違法なんですね。コカ茶を飲んでも、特に何も感じませんでした(コーヒーの方が 余程刺激的)。
 再度バスに乗り、クスコ市内観光の最初の訪問先であるサント・ドミンゴ教会へ行きました。 サント・ドミンゴ教会は、インカ帝国時代には、太陽の神殿と言われていて、石組みの すばらしさもさることながら、黄金の装飾でいっぱいだったらしい(見たかったなあ)。スペイン人が征服した時に、黄金はすべて持ち去られて しまったと言う事です。
 「カミソリの刃1枚すら通さない」と言われるインカの石組み。12角の石は、石組みの中の一つの石で、ガイドブックに 大きく紹介されているけど、周りの石より大きいだけのような・・・。
サント・ドミンゴ教会
ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会
12角の石

 展望列車の駅に向かう途中、眺めの良い所でバスは止まり、昼食。こんな所でパリパリ海苔のおにぎり 弁当を食べられるとは思ってもいなかったので感激。でも、標高が高いせいで、まだ頭が重たい。 弁当を食べている最中に現地の素朴な子供がこちらをじっと見ていてちょっと食べ難かった。食べ終わった頃、 雨がパラパラと降ってきたので、急いでバスに乗車。クスコからバスで2時間位でオリャンタイタンボ駅に到着し、 展望列車に乗り込みました。
 ガイドさんからトイレの注意がありました。「トイレは動いている時だけ使用して下さい」 そうなんだ、トイレは垂れ流し式なんだ。 まあ、日本も昔は、垂れ流し式だったな・・・なんて思ってあまり気にしなかったのですが、列車が走り出すと 車窓の絶景の写真を撮るために、皆さん窓を開放して、場合によっては手や顔をちょっと外に出すようにして写真を 撮りまくっていました。私も撮りまくりました。こんな状態でどなたかがトイレに入れば、乗客は 「黄害(コウガイ・・・今は死語ですね)」に遭遇したかもしれません。遭遇しなかったのは「うん」が良かっただけでしょう。
車窓に迫る山々
列車はウルバンバ川に
沿って走る
ベロニカ山
(6000m級の山)

 マチュピチュ村の駅に到着。困った事に、マチュピチュ村は停電中でした。 手荷物はポーターさんが手押し車に載せて、狭い坂道を運んでくれました。 ホテルに着いても停電中で、薄暗い中、添乗員さんから諸連絡があり、部屋に入りました。階段も部屋もとても狭い。 スーツケースは展望列車に乗せられないから預けてきましたが、ホテルに来る途中の狭い坂道や、ホテルの部屋 を考えると、マチュピチュ村にはスーツケースを持ってこない方が快適に過ごせるのではないかと思いました。
 ホテルの人が、ロウソクを持って来てくれましたが、各部屋に1本のみ。一人が洗面所に行ったら、もう一人は 暗い部屋でじっと待っているしかありません。食事の時間を待つ間、デジカメ用の電池を充電しておこうと、コンセントに充電器 を差し込んだ自分の行動に、おかしさが込み上げてきました。でも、停電がいつ復旧するかは分からないのです。 停電中に充電器をセットして置く行動は、意外と賢い行動だったかもしれません。
 やがて食事の時間になりました。ロウソクの光の中での食事もまた楽しいものです ・・・と思うしかありませんでした。後は寝るしかない・・・と思いながら食事をしていた所で電灯が点きました。 思わず安堵の声が出て、拍手が沸き起こりました。電気って、本当にありがたいです。 結局到着後2時間位暗闇で過ごしただけで済みました。食後、ホテルの周りをちょっと散策しました。

5月25日
 朝食後、ホテル周辺を散策。谷川沿いに、さほど大きくない建物が並んでいる様は、日本の谷川沿いの温泉街の雰囲気があります。
 バスで、つづら折りの道を約30分上がるとマチュピチュ遺跡の入口。有料トイレに行ってから、さあ入場! 各人の名前入りの入場券とパスポートも要るのですね。人がやっとすれ違える位のつづら折りの道を10分も上ると、マチュピチュの あの絶景が目の前に広がっていました。


見張り小屋
マチュピチュ全景の展望所
太陽の神殿
左側・・・段々畑    .
右側・・・居住区の石組

 曇り空だったのですが、遺跡巡りの終盤になってから日が照ってきて、暑い位になりました。直ぐに昼食の時間になったのであまり 暑い思いをせずに済みました。 遺跡から出て直ぐの所にあるサンクチュアリ・ロッジにて食事をしながら、今見て来たマチュピチュの景色を思い出していました。 遺跡が大好きな私なのですが、世界遺産ランキングで必ず上位に入るマチュピチュを見終わって、何だか物足りなさを感じていました。 文字が無いのです。エジプトの神殿で見たおびただしい文字を見てワクワクした 事を思い出しました。中国では、文化の有る所には漢字有りという感じです。文字は神と対話する道具であり、過去の記録であり、 ノウハウの蓄積です。文字が無いインカ文明は本当にミステリアスです。
インティワタナ
太陽を繋ぎ留める石
突然リャマに遭遇
(ありゃま)
水汲み場

 食後、マチュピチュ村に戻り、駅前の民芸品マーケットで買い物。 帰りの展望列車の中では、仮面を着けた民族衣装の踊りがあったり、アルパカ衣類のファッションショーがあったりで にぎやかなものでした。それからバスでクスコへ。クスコではアンデスの民族音楽「フォルクローレ」を聴きながらの夕食でした。 この旅行最後のディナーでしたが、高山病にならないようにアルコール飲料は控えました。

5月26日
 今日のモーニングコールも5時15分と早めなのですが、リマのホテルでの3時とかに比べると楽なものでした。 バイキング形式の朝食。ホテルのスタッフがテキパキ動いてくれないからでしょうか、 テーブルの上にナイフ、フォークが置いてなかったり、料理を乗せる大皿やコーヒーサーバーが空っぽだったりしていました。 「ひどいですね」とか、ツアーの方と話していたら、集合時間も近くなっていました。
 バスに乗りクスコ空港へ。 帰りも、クスコ→リマ→ロサンゼルス→羽田→熊本と言う長旅です。 リマの空港にて南米最後のショッピングチャンス。お土産等を買い、南米とは、いよいよお別れです。

 ロサンゼルスの飛行機搭乗前検査にてスキャナー検査を受けました。ベルト、時計など金属類はすべて外していたのですが、検査後 呼び止められて、別室に来るように言われたのです。え〜っ、何も不審な物は持っていないのに、何が怪しまれたのだろう? 心配しましたが、ちょっと入念にボディチェックされただけで、直ぐに開放されました。これくらいのボディチェックなら、その場で して欲しかったです。別室に連れて行かれるのは心臓に悪いです。

 今回の旅行中、スーツケースが破損しました。スーツケースの角が引っ込んだだけで、使用出来なくなると言う程の破損では ありませんでした。この程度の破損では、航空会社は修理してくれないそうです。しかし、保険を使って修理しておこうと思いました。 そのためには、税関を出る前に、航空会社のカウンターに行って 「手荷物破損報告書」を作成してもらって置いた方が良いと言う事を添乗員さんに教えてもらいました。

 三大絶景のイグアスの滝、ナスカの地上絵、マチュピチュを巡った今回の旅を振り返ってみました。 イグアスの滝は、実際に行って見て初めてそのスケールを実感できました。一方、ナスカの地上絵、マチュピチュ は、頭に思い描いていた物とさほど違いが無かった様な気がしました(大自然と人工の物とのスケールの違いでしょうか?)。 いえ、決して感動が少なかったと言うわけではないんです。大変な思いをして、地球の裏側まで行って見る価値はそれぞれにありました。
 世界中には行ってみたい場所が沢山あります。とても全てを見る事は出来ません。ですから、今度どこに行くか?を決める事は とても大事な事だと思います。今回の旅行は、今後の旅先を決める一つの指針を示してくれたような気がしました。
2012年8月

ホーム> 篆刻雑感目次>遥かなる南米