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宝 塚

 宝塚と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?私は宝塚歌劇団の事しか思い浮かばない のです。私の発想があまりにも凝り固まっているので宝塚小学校(実在します)と 聞いても、女の子だけの学校で、歌と踊りのレッスンに励んでいる姿を思い浮かべてしまいます。
 家内が宝塚歌劇を見たいとかねてより言っていました。それも、地方公演ではだめで、宝塚大劇場で 見たいと言っていました(贅沢な!)。私も一度は見ても良いかなと思ってましたし、 たまには父母を有名な温泉にでも連れ出そうと言う事もあって、宝塚と有馬温泉の旅行を計画しました。


六甲ガーデンテラス

 いろいろな雑誌に「新名所」として紹介されていたので行って見ました。 「見晴らしのテラス」「見晴らしの塔」は気に入りましたが、他の施設は あまり大したことはありませんでした。これで駐車料金500円は高い!


有馬温泉

 六甲山の北側に位置し、神戸の奥座敷と呼ばれています。その歴史は古く、 日本書紀にも登場し、白浜(和歌山)、道後(愛媛)、 と並び、日本三古泉のひとつだそうです。また、草津(群馬)、下呂(岐阜)と共に、 日本三大名湯にも数えられます。(しかし、九州での知名度は今ひとつかな?) 温泉街の狭い坂の石畳道を散策すると、ここかしこに泉源が点在します。僧行基や豊臣秀吉 の足跡も見られ、それらが古い町並みに溶け込んでいる様は風情がありました。 泉源は「金泉」と呼ばれる茶褐色の含鉄食塩泉と、「銀泉」と呼ばれる無色透明の炭酸 ラジウム泉の2種類あり、全く異なる泉質を楽しめました。特に茶褐色の金泉は、強烈 でした。


手塚治虫記念館

 ここは宝塚大劇場のすぐ近くにあり、歌劇の開演前に行ってきました。 手塚治虫は、宝塚で幼少年期を過ごしたそうです。ここでもっとも心に残ったのは、 常設展示室の幼少期の手帳です。これには、昆虫の事が小さい丹精な文字でギッシリ埋め 尽くされていました。手塚治虫の昆虫好きは、 ペンネームが甲虫のオサムシになぞらえたものである事からもうかがい知る事ができます。 そして、この手帳を見ていると手塚治虫の昆虫好きがひしひしと伝わってくるようでした。 この昆虫への情熱は手塚治虫の根底に流れているものの一つに相違ありません。手塚治虫と言う 一つの頂点に立った人の、天分だけでない、そこに至るまでの遥かな道程の一端に触れた 気がして、改めて畏敬の念を感じました。わが身はどれだけ情熱を傾けてきたか・・・ そんな内なる声がしてきて、ある書学者の言葉を思い出しました。「努力もせぬ内に 己を見限るのは止めて、精書あるのみ」
 出口には、大変愛想の良いアトムがいて、一人一人握手をしてくれ、記念写真も撮らせてくれました。


宝塚歌劇

 春の公演は、初舞台の出演者達が緑の袴姿で述べる口上で幕が開きます。前半はミュージカル「マラケシュ・紅の墓標」 だったのですが、恥ずかしい事に話の展開に付いていけなくなってしまいました。終わって から、映画好きの家内に解説してもらおうと思っていたら、家内の理解も同程度でした。 話の筋がわからなくなった原因の一つには、出演者が皆同じに見えてしまったからです。 全員が均整のとれた背格好をしています。おまけにS席を取ればよいものを、2000円 ケチってA席にしたものだから、顔が良く見えない・・・。でも、思いますに劇ならば、 性別、身長、体重等により出演者の個性が表に出ているのが普通と思うのですが、宝塚では、 全員女性ですし、背格好がほぼ同じなのです。衣装を変えて出てくると誰が誰なのか ???と言う状況になってしまいます。複雑なストーリーは、やめて欲しいですね。
 後半は「エンター・ザ・レビュー」で、歌と踊りを楽しめました。数人ずつの組で出てきた かと思うと、あれよあれよと言う間に大勢になって、一列になり・・・!出た!これぞ 宝塚のラインダンス!綺麗な、おみ足がピッタリそろって上がるその様は、いや〜〜はるばる 宝塚まで来て良かったと思える瞬間でした。それで終わりではありませんでした。これも 宝塚名物の大階段が出てきました。この大階段は26段で、足を乗せる部分の幅はわずか 24cmだそうです。 この階段を下りてきたり踊ったりするわけで、しかも顔は笑顔で客席を見ていなければなら ないので大変らしいです。そして、主演の男役は、大きな羽根を背負って出てきます。 この羽根はなんと20kgになる事もあるそうです。そんな大変さを一切感じさせない きらびやかなショーが続き、最後はもう圧倒されたと言う感じでした。
 主演の男役の派手さは半端ではありません。これでもか、これでもかと言うほど派手な 衣装で出てきます。他の人も派手な衣装には違いありませんが、ここでは引き立て役 と言う感じです。ここまで一人だけを目立たせないといけないのかなとも思いましたが、 これが宝塚の人気を保つための戦略なのでしょうし、社会の常なのかもしれません。
 先ほどの「ラインダンス」は全員同じで感動し、最後はド派手な人とそれに比べれば地味な 人との組み合わせの「大階段」で感動しました。篆刻の事を思えば、同じ太さの線ではいけない、 印の中に変化をつけなさい、と良く言われます。そんな意味では「大階段」は変化を求めた結果 でしょう。一方、「ラインダンス」は、同じものを多数並べて美を見せる・・・桜並木(これも 宝塚市の名物の一つです)と通じるものがあります。「ラインダンス」の美しさを 持った印の事を思いながら、宝塚大劇場を後にしました。


鉄斎美術館

 明治の文人画家・富岡鉄斎の美術館で宝塚市の清荒神 清澄寺境内にあります。 富岡鉄斎は、絵画だけでなく、書・篆刻も一流の文人です。 お寺の中の美術館と言うと、訪れる人も少なく大変静かな雰囲気を想像していたのですが、 大変な間違いでした。清澄寺に向かう細い道に車の列が続いていました。交通整理の 人もいて道路工事中なのかなと思っていると、さにあらず。交通整理の人に聞くと 「お祭りで日曜日なので、車が多く駐車場に入るための列」と言う事でした。 お祭りっていったい何なのだろう? 曲がりくねった道なので、先が見えず、どれだけ待たないのかいけ ないかも分かりません。細い道なので、Uターンする事も出来ず、ひたすら車が少しずつ 進むのを待つしかありませんでした。駐車場が見えてきてまたびっくり。かなり広い駐車場 がありました。やっとの思いで駐車して歩き出すと、参道沿いには、お祭りに付き物の 食品や雑貨のお店が軒を連ねていました。なんだか、ちょっと懐かしい風景です。 本日は毎月の例祭で、日曜日と言う事もあって、参拝客が多かったのでした。 かなり有名なお寺だそうで遠方からもこられていました。我々は遠方から来ましたが参拝 目的ではありません。でも、美術館に行く途中お寺の中を通って行きますので、形ばかりの 参拝を致しました。
 参拝客の雑踏を通り過ぎて、やっと私の想像通りの静かな美術館にたどりつきました。 こぢんまりした美術館で、鑑賞するには大変良い環境でした。一番印象に残ったのは 「武陵桃源図・蓬莱仙境図」でした。世俗から隔絶された、桃の花咲く地に平和な暮 らしを続ける一族の理想郷、つまり桃源郷の絵です。便利な世の中に慣れた身には 桃源郷の生活は無理だろうなと思いながら、やはり一つの理想郷に違いないと、 深く感じ入った次第です。桃源郷はもちろん本当にはありえない話で しょうけれども、広大な中国だったら、ひょっとして、ひょっとするかも・・・。


明石海峡大橋

 明石海峡大橋を眺めたいばかりに、橋を一望する高台に立地する「シーサイドホテル 舞子ビラ神戸」に宿を取りました。ホテルにしては珍しく大浴場があると言うのも気に入りました。 客室の窓から見える橋は見事なものでした。夜になると橋をつるす延長4kmのケーブルには、 ライトが点灯し、橋が美しく輝きます。ライトの色変化するようになっていて、1時間毎、 30分毎に時間を色の変化で知らせる時報パターンや、正月、震災記念日等は特別なパターンが あるそうです。時報パターンは見ましたが、ゆっくり色が変わっていきますので、じっくり 見ていないと、変化に気づかないかもしれません。こうやってホテルの窓からでも見なければ、 なかなか見ないでしょうね。もっと派手に、いつもチカチカしていると面白い事でしょう。 (ライトの特性上できないのかな?)


淡路ワールドパーク ONOKORO

 世界の有名な建物が25分の1サイズで作られたミニチュアワールドが、ここの目玉。 私は建物が大好きで、このテーマパークは以前から気になる存在でした。当初は、所在地 すら良く分かりませんでした。神戸の旅行ガイドブックで見つけて、 ますます気になる存在になりました。 25分の1がどの程度のサイズか言いますと、たとえばパリの凱旋門の高さがが約50mですから、 ミニチュアワールドでは、約2mのはずです。2mでは、あまり迫力は期待できそうにありません。 息子達を連れて行くなら小学生の頃に連れて行けば良かったのですが、すでに中高生です。 しかし、私自身が見てみたいばっかりに行ってみようと思いました。
 行く当日は、あいにくの雨模様でした。大雨ならば行くのを止めようと思っていましたが、 小雨程度でしたので、予定通りONOKOROに向かいました。
 おのころ・・・ちょっと不思議な名前だなと思っていたら、なんと、日本書紀・古事記 にその名前が出てくるそうです。イザナギ・イザナミの尊が、矛で海原をかき回し、矛を引き上げた 時に滴り落ちる塩が固まり、島が出来た・・・と言うのは、どこかで聞いた話ですが、 その島が「おのころ島」で、淡路のどこかにあるそうです。イザナギ・イザナミの尊は、おのころ島 に降り立ち日本を作ったと言う事です。
 ミニチュアワールドは、建物の周りの木々等も含め結構精密に作られていて、結構満足しました。
スペイン
セゴビア城
ニュージーランド
クライストチャーチ大聖堂
インド
タージ・マハル
 兼高かおる旅の資料館は、あの「兼高かおる世界の旅」で有名です・・・とは言え、息子達 は知りません。1959〜1990年に(なんと31年間!)放送されたテレビ番組ですので、 これを知っているかどうかで世代が分かってしまいますね。
 ワールドクルーズでは、川や海沿いにある建造物を見る事ができます。 小さなボートに乗って見ますので楽。別料金になっているだけあって(?) ワールドクルーズで見る建物は、船に乗らないと見る事が出来ないように成っています。
 おのころ・・・確かに由緒ある名前の様ですが、このテーマパークとの関係はどう考えても ??でした。


北淡町震災記念公園

 兵庫県南部地震で現れた野島断層(国定天然記念物)を保存してある公園を訪れました。 とうとう、この旅行最後の訪問場所です。凄まじいまでの地震のエネルギーを感じる事が 出来ました。メモリアルハウスと言って、民家の敷地内を断層が横切っていて、それが そのまま保存されていました。 地震もすごいけど、この家は、広くて立派!壊れたとは言え立派に立っています。 我が家なら最初にペッチャンコでしょうね。断層の断面(写真をみてください)は、圧巻でした。 ちょっと、そこの人じゃまよ!


旅の終わりに

 今回は、父母を連れての旅行でしたので、無理しないように したつもりでしたが、いつもの「何でも見てやろう根性」からは、なかなか抜けられなくて、 特に淡路ワールドパークONOKOROでは、子供用のテーマパークだろう・・・等と 言いながら結構マジになって見て回ったものだから、父母にとっては、早すぎる歩き方 になってしまい反省・・・。
 帰りの新幹線が少し遅れて、やや遅めに熊本駅に着き、駅近くのレストランで食事をしました。 旅行の話に花が咲き、楽しく旅行を終える事ができて良かったと思える瞬間でした。  

2005年6月


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