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上海動物園

 私の所属している全日本篆刻連盟では、隔年毎に海外展を開催しています。2000年は 前回に引き続き上海での開催でした。会場は上海図書館で、それは立派な会場でした。開幕 式とそれに引き続き行われる記念パーティには、全日本篆刻連盟員を中心に日本から 150名程の参加者がありました。 今回の上海展には、家内と当時小学3年生の次男を連れて行きました(私だけで旅行に行くのは、ずるいと 言われまして・・・)。当時小学5年生の長男は、退屈な旅行になると思ったのでしょう、 ついて来ませんでした。

 篆刻の話からずれてしまいますが、次男の希望で上海動物園に行った時の話を致します。 上海動物園は、パンダが居ることで有名で、私たちもパンダが目当てで出かけました。

 まず、ホテルを出て、陸橋を渡っていると、中国人が2人近づいてきました。1人は 日本語を上手に話しました。 「子供さんとお出かけですか?」から始まり、「私は、芸術家です」との事、立派な 名刺ももらいました。私も、篆刻の展覧会に出品していて上海に見に来ています、 等と話していました。私の横顔をじっと見ていたかと思うと、いきなりカバンの中から 紙とハサミを取り出して、私の横顔の切り絵を作り始めました。間近にこの様な物を見 るのは初めてでしたし、早業でしたので、あっけに取られながらも面白くて見ていると、 家内と次男の分もあっという間に作ってしました。今度は、透明ビニールシートに切り 絵を入れ始めたので、鈍感な私も、これはおかしいぞと思い始めましが、ビニールシート に入って、さらに包み紙に入れられた切り絵は、既に私の手の中に!

 どうなる事かちょっと心配でしたが、「会った記念に日本の硬貨を下さい」との事でした。私は、 日本の硬貨を持ち合わせていませんでしたが、家内が財布の中に入れていました。家内は、 記念にと言う事なので、硬貨を数種類取り合わせて渡そうとしましたが、家内の財布の 中を覗き込んで「100円硬貨が良い」と指定してきました。100円硬貨を3枚渡すと 笑顔で、さようならと去っていきました。やられた!と思いました。切り絵自体はちゃ ちな物でしたが、面白く見る事が出来ましたし、300円で済んだので、まあいいか、 という感じでした。そう言えば、日本語を話して近づいてくる中国人には注意するように とガイドブックにも書いてあったよなあ!

 その陸橋を渡り終わり、目指すはバス停です。これは私がやりたかった事なのですが、 上海でバスに乗って見たかったのです。上海に来てバスに乗る日本人は、あまりいない ようです。私自身、日本でも知らない土地でバスに乗るのは、余程確かめてからでないと 不安です。 しかし、添乗員からホテルの直ぐ近くから動物園行きのバスが出ている事 を聞いていましたし、動物園は終点でしたので、思い切って乗ってみる事にしました。

 運賃は均一運賃で何と1人1元(1元≒14円)。動物園までは地図上の直線距離で10 km程あります。乗って見て感じたのは意外に快適で、心配も要らなかったことです。 バスは、ワンマンバスでしたが、バスの中に全停留所名が表示されていました。また、 車外を眺めていると、通りの名の看板が至る所に表示してあるばかりか、東西の方向 も表示されていますので、地図上で現在地を知る事は難しい事ではありませんでした。 乗っている人も段々少なくなって、終点の動物園に無事到着しました。

 動物園の入口で、案内板を見て、パンダの場所を頭に入れたつもりで出発しました。 小さな水族館から象、ゴリラ等を見ていきましたが、その園内の広い事、広い事。 熊本動物園(ここは特別狭い動物園かもしれませんが)は、檻に隣接するように檻が 作られていて、次に何の動物がいるかは、直ぐにわかります。しかし、ここでは、 隣の檻が林に囲まれていて見えません。途中の道を歩いて行くと小鳥が道端で遊んで いたりして、まるで森の中を散策しているようでした。さて、目指すパンダの檻はどこ? すっかり迷ってしまいました。何度も人に聞きながら歩きましたが、行けども行けども パンダの檻は見えません。中国語は話せませんので、聞いた人の指差すほうに行く しか有りません。それでも、何とかレッサーパンダから、目的のジャイアントパンダの 檻にたどり着く事ができました。

 たどり着いて、若干心配だった事が現実のものとなりました。パンダは寝ていて、 たれパンダ 状態でした。見えるのはパンダの背中だけ。そうです、私は高校の修学旅行で上野 動物園に行って寝ているパンダの背中だけ見て帰ってきた事を覚えていたのです。 あ〜、ここでも背中だけか。待っていても、いつパンダが起きてくれてるか分かった ものではありません。記念写真を撮って、帰りの途につこうとしました。パンダ舎 は、表は、檻とガラスになっていますが、裏から見るとコンクリートの壁になっていて 小さな窓が下方に付いています。帰り道にはパンダ舎を裏から見る事になるのですが、 その小窓を見ると何かが動いています。急いでパンダ舎の表に回ってみると、なんと パンダが起きだして、笹の葉を食べているではありませんか!

 すっかり満足してパンダ舎を出てきましたが、ここまで来る長い道のりに3人とも くたびれていました。見ると、目の前に動物園内を走っている車が止まっていました。話 を聞いてみると(実際には会話は行われていません)途中で色々な動物を見ながら 出口に向かうらしいのです。次の目的地(外灘)に早く行きたくて、直接出口に行 ってくれるなら、1人10元(10元≒140円)と言う観光付きの料金を払っても 良いと言うと(くどいですが会話は行われていません)出口まで乗せてくれました。

 動物園を出て、次は外灘行きのバスを探しました。どうやら見つけて、その番号 のバスを待ちました。程なく来たバスは、やや小型のバスでした。車掌さんが乗っていたので、 地図を指差しながら、外灘(ウェイタン)と言うと、うなずいてくれましたので 安心して、外灘まで乗る事が出来ました。


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