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ダイビング

 篆刻にも段級があるのか?とか、篆刻を教える資格と言う物があるのか?と聞かれる事があります。篆刻にも段級があります。ただし、篆刻自体がマイナーな習い事ですので、段級の認定を行っている団体自体が極少ないです。篆刻も書道も同じですが、段級の上の方には、「師範」がある場合があります。「師範」と言えば、世間一般では、教える資格があると言う事になるのでしょうけど、「師範」になったからと言って、本当に弟子を持っている「師範」かと言うとそうでもなく、弟子も無く、従来からの師匠に習い続けている方もいらっしゃいます。こうなると「師範」も段位の一つと考えざるを得ないでしょうね。その上には役職者がいて、その役職によってまた序列が決まっています。教える資格と言うものがあるわけではなく、習いたいと言う人がいれば、教えられると言うべきでしょうね。

 ダイビングには、初歩のレベルから、インストラクターレベルのものまで多様な資格があります。それぞれの段階で学ばなければいけない知識や修得するべきスキルがはっきりしているので、書道の段級のような曖昧さは少ないようです。だいたい書道のスキルが曖昧なものだから、書の世界には●×○◎や▲□が■△っていて・・・。文字化けした所でこの話は止めておきましょう。

 さて、この度一家4人で、Cカード(Certification Card)を取得してきました。Cカードと言うのは、スクーバダイビングの初歩のライセンスカードの一つです。私がダイビングのライセンスを取るとは、私自身考えてもみなかった事です。髪を洗う時や、顔を洗う時に息苦しく感じる事があるのです。牛乳を大きなコップで飲む時も苦しく感じるのは私だけでしょうか?そもそも息が出来ない状態は耐えがたい苦痛ですので、溺死だけは避けたいと思っていました(希望する死に方もありませんが・・・)。そんな私ですので、ダイビングをしようと言う事が私の頭の中をよぎる事はついぞありませんでした。では、なぜその様な事を考えるようになったのでしょうか?本ホームページの「ウルル探訪記」に書きましたが、グレートバリアリーフでの体験ダイビングにて、海の中の世界に魅せられてしまいました。体力も必要だろうから今のうちにしておかないと後からでは潜る気力も無くなるかも・・・、また、子供たちにも色々な体験をさせてやりたいし、一緒に体験する事自体に意味があるだろう・・・そんな思いが一気に噴き出して来ました。

 ダイビングに関するホームページを見ていく中で、「ダイビングは、危険度の高いスポーツである」との記述に、ビビリましたが、「命を失わない最低限の知識と技量を身に付けてから開始する必要があるから、ライセンスを取る必要がある」と言う記述に納得しライセンスを取ろうと思いました。ホームページの他、雑誌、ダイビングショップで情報収集をしました。熊本でも、ダイビングショップでCカード取得出来るんだと言う事も知りました。熊本からですと、天草や鹿児島まで海洋講習にでかけるようです。でも、熊本のダイビングショップで取得する経費と、沖縄やグアムで取得する経費とに大差は無く、それだったら、旅行気分も味わえる沖縄で、と思いました。なぜ、グアムでなく沖縄にしたかですって?今回は、Cカード取得に集中したかったのです。それに、沖縄の海は世界一 珊瑚礁が美しいとも聞いていましたので・・・。

 【初日】朝、福岡空港から那覇空港に向かい、午後から学科講習でした。(なぜか、熊本空港発よりも福岡空港発の方が1万円近く安い!) 学科講習は、ビデオを見て、インストラクターからの説明を聞き確認テストをする事の繰り返しでした。インストラクターは、面白おかしく工夫を凝らして説明してくれるのですが、内容が内容だけにちょっと辛い時間でした。その日はそれで終りでした。宿はビジネスホテルで、私は全然期待していなかったので、何とも思わなかったのですが、家内と子供たちはリゾートホテルを期待していたようで、ブツブツ文句ばかりでした。今回の旅行はダイビングの講習が主目的なので「合宿」と思ってもらえば、ビジネスホテルも住めば都です。

 【2日目】次の日は、いよいよダイビング器材の扱い方、取付け方を習い、実際に器材を身に付けてプールでの講習でした。いろいろありましたが、マスクの中の水を出す、マスク・クリアが一番辛いスキルでした。鼻から息を出してマスクの中の水を追い出すのです。最初は半分だけマスクに水を入れマスク・クリア、次は水中で一度完全にマスクを外してマスク・クリアを行います。私はコンタクトレンズをしていて、度付きマスクも用意してもらっていましたが、インストラクターからコンタクトレンズをしたまま、目をつぶったままでも出来ます、と言う事を聞いて、コンタクトをしたまま、度の付いていないマスクを使用して行いました。特に支障なく出来てほっとしました。

 初めて知ったのは、一つの空気ボンベにレギュレータ(口にくわえて息を吸う所)が2つ付いていると言う事。一つは自分用、もう一つは、空気ボンベが空になった仲間のための予備です。万が一、水中で空気がなくなった場合は、仲間からこの予備のレギュレータを使わせてもらう事になります。一つのレギュレータを交代で使う必要は普通はありません。

 午後からは、砂辺(すなべ)と言うビーチに場所を変えての講習でした。ビーチには、講習中と思われる他のグループも何組か来ていました。浜辺で重い器材(空気ボンベ:10kg、浮力調整用ウェイト:6kg、等)を身に付けて、泳げる所までは、歩いて行くしかないのは、ちょっと辛かったです。浅い所でも海に入った途端に、色鮮やかな熱帯魚がいるいる! そして、あたり一面に広がるソフトコーラル!! やっぱり来て良かった!!!

 ちょっと深い所で、マスク・クリアなどプールで行ったスキルを再度行いました。その後、他の場所に移動する際に、家内がその場を動こうとしませんでした。お母さんに一体何があったの?家内は、他グループのインストラクターを自分のインストラクターと勘違いして、その動作を一生懸命見ていたそうです。後で、家内はマスクのために視野が狭くなっていたからと言い訳をしていました。実は、私は、家内のこの大ボケに気づいていませんでした(私もマスクによる視野狭窄だったもので・・・)。いや、本当にマスクをすると、視野が狭くなるのですよね。

 ダイビングが終り、海から出ると、器材の重さが疲れた体にのしかかります。その状態でゴツゴツ岩場の浅瀬を歩くのは、行きがけ以上に辛かったです。帰りがけにインストラクターからブルーシールアイスクリームをご馳走してもらいました。シークヮーサー、ゴーヤー、サトウキビ等、沖縄ならではの味があって、そのおいしかった事!

 【3日目】ダイビング最終日は慶良間(ケラマ)諸島まで出かけてのボートダイブでした。今回の講習ではビーチだけかと思っていたのですが、このような事も出来るのですね(ボート代は別料金でしたが)。憧れの一つだった慶良間にこんなに早く行けるとは思っていませんでした。インストラクターからの助言で、朝から乗り物酔い止めの薬を皆飲んでいきました。私は、乗り物酔いをした事は(子供の頃を除いて)無いのですが、ボートに乗ってその意味が分かりました。ボートは30人乗り位の小さなもので、スピードを上げて行くと揺れる事、揺れる事、座っていても何かに捕まっていなければいけません。

 そんな中で、インストラクターさん達を驚かせたのは、中学3年の長男がボートの床にうつ伏せになり学校の宿題をやり始めたのです。我家でも寝転がって勉強しているのですが、こんな時にその姿勢で勉強する事が役に立った(?)ようです。(だいたい中学3年の夏休みに、こんな所に遊びに来ていて良いのか?)

 1時間位で島が間近に見えて来ました。同じようなボートが他にも来ていました。ビーチと異なり海岸から重い器材を身に付けて浅瀬を歩く事は無くて楽ですが、ボートからは深い海に直接降りることになります。マスクを手で押さえて、足を踏み出すようして海に降りて、と言う指示でコワゴワ海に降りました。着ているジャケットには空気が入るようになっていて、これに空気を入れておくと救命胴衣を着けているように海にプカプカ浮かんでいる事が出来ます。ボートを海底に固定しているロープに捕まって、海の中を覗くと、10m位あるのでしょうかね、かなり深く感じて、ちょっと怖い感じ。「いいです、私はボートで待っています」と言いたくなりましたが、家内と子供達の手前、そんな事は言い出せず、意を決してジャケットの中の空気を抜きながら、ロープを伝って海の中に潜って行きました。直ぐに恐怖感は無くなって、そこは昨日のビーチとは、また一味違った海の中の世界が広がっていました。子供達はほとんど何の問題も無くインストラクターに付いて行っていましたが、家内と私は、時々意に反して浮かび上がってしまいます。浮力の調整には、ジャケットの中の空気だけでなく、肺の中の空気も関係していて難しかったです。ここの海の中でもジャケットや、浮力調整用ウェイトを海中で付け直す訓練等をしましたが、海の中の景色もかなり楽しむ事が出来ました。下の写真は、次男が撮った写真です。

 ボートダイブを2本と、休憩時間にシュノーケルを楽しむ事が出来て大満足でした。帰りも揺れの激しいボートでしたが、インストラクターさん達は、横になって居眠りを始めました。私も眠くて、横になりましたが時折ひどい揺れが来てその度に頭をゴ〜〜ンと床に打ち付けては目が覚めてしまいます。それでも少しは休めました。

 ダイビングショップに帰ってから、学科講習が少しありました。重要ポイントのおさらいや質問の後、学科試験があるのです。学科の中でちょっと複雑なのは、ダイビングの制限時間を表から読取る問題です。ダイビング中は圧力の増加に伴って呼吸する空気に含まれる窒素が体の中の細胞に溶け込みます。深く長くダイビングするほどより多くの窒素が体の中に吸収されます。浮上すると、圧力が減少するため、体の中の窒素は外にでて来ます。限度を超えた量の窒素が体に吸収された状態で減圧すると、窒素が気泡となって細胞や血管の中に出てきます。これが減圧症と言う重大なトラブルです。血液がビンのフタを開けた時のビールの様になってしまうのですね。怖いですね。昨日は、夕食で減圧症になった時の血液の状態を確認するため(?)、ビールを飲んでしまい、復習する間もなく、早々と寝てしまいました。でも夜中に目が覚めて復習しましたので、どうやら理解出来たようでした。ダイビング後のちょっと辛い試験でしたが、4人ともめでたく合格できました。

 今回のCカード取得はダイビングの出発点であり、これから潜るポイントを探していく事になりそうです。陸上だけでも行きたい所が山ほどあるのに、海の中まで見て回らないといけなくなってしまって、本当に困ったものです。

 今回、ダイビングショップワンダーリーフ沖縄にお世話になりました。とても親切で楽しい講習で感謝しています。

 なお、この文中の魚の写真は、ダイビング講習が終わった翌日【4日目】に行った、美(ちゅ)ら海水族館にて撮影したものです。水中カメラは持ちあわせておりませんので・・・。紛らわしい所に魚の写真を貼り付けて申し訳ございませんでした。魚以外の写真は本物です(念のため)。帰宅した後、ウェットスーツ姿の写真が無い、海中の写真が無いと家族から責められました。今回は、講習だったのだから勘弁してよ!

2004年8月


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